NTT等の動向(2025年度の事業運営にあたって)

NTTグループの概要と最新動向

NTT西日本株式会社
執行役員 九州支店長  右田 聖秀

電友会の皆さまには、平素よりNTT西日本ならびにNTTグループ各社の事業運営に深いご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

1985年に日本電信電話公社が日本電信電話株式会社へ民営化されましたが、2025年の今年は、民営化から40年目の節目の年にあたります。この40年間において、NTTグループ全体の営業収益は5.1兆円から13.7兆円へ約2.7倍、営業利益は0.8兆円から1.6兆円へ約2倍に増加するといった大きな成長を遂げております。また、事業内容においては大きな変化があり、民営化当初は収益の83%を占めていた「固定音声(固定電話)」は約6%にまで減少し、代わって「システム構築(約36%」、光通信等の「IP系パケット通信(約26%)」が主力事業となっています。さらに、従業員数は31.4万人から33.9万人と、やや増加していますが、そのうち海外の従業員が15.4万人と全体の46%を占めており、グローバル企業へと成長しつつあります。

また、前述の事業環境や電気通信事業の競争環境の変化等により、民営化時に制定された「NTT法」の見直しが国会でも議論され、各種の義務や規制の一部を緩和する法改正が成立しております(一部は予定)。そして、今回の法改正により商号変更が可能となったことから、本年7月に社名を変更いたしました。

「電信電話」という名称を廃し、日本電信電話株式会社は「NTT株式会社」、西日本電信電話株式会社は「NTT西日本株式会社」となり、コーポレートロゴも変更となりました。(※1)

これは、国内外統一のコンセプトのもと、NTTグループの技術力やケーパビリティを分かりやすく示し企業ブランドを高めること、また国内においては「ICT×ネットワーク」を活用したDX化、地域社会の課題解決等による事業のさらなる成長を実現したいと思っております。なお、「ダイナミックループ」は新たなロゴでも継承します。

昨年度は、世界的な選挙イヤーとなり日米を含む世界各国でトップや政権交代が起こり、国内では日経平均株価がバブル期を超える水準に達したほか、日銀が17年ぶりに利上げに踏み切るなど、デフレ脱却に向けた大きな転換点を迎える年になりました。そのような中、NTTグループの2024年度決算は、公共・社会基盤や金融分野の増収に加え、好調なドコモグループのスマートライフ事業により営業収益は13兆7,047億円(対前年3,302億円)となったものの、モバイルや固定の通信サービス収入減やモバイルネットワーク品質向上に向けた施策展開等により営業利益は1兆6,496億円(対前年▲2,733億円)となり、対前年増収・減益の決算となりました。またNTT西日本グループは、営業収益1兆4,686億円(対前年▲283億円)、営業利益818億円(対前年▲571億円)となり、対前年減収・減益の決算となりました。成長事業の拡大やコスト改善策を実施したものの、固定音声収入の減に加え、前年度の一時的要素の反動減、将来の持続的成長に向けた先行投資の影響によるものです。ただ、これらは年度当初の時点で想定済みで、当初計画に対しては成長分野の拡大、ARPU(1ユーザーあたりの平均収益)の改善、光回線サービスの契約数増加といった要因により、営業収益・営業利益ともに計画を上回る結果となりました。

2025年度は、NTT西日本グループとして①通信事業の維持・拡大、②法人事業の拡大、③新規サービス・事業の拡大、④DXによるCX/EXの向上に取り組み、利益成長軌道への転換を図っていきます。通信事業においては、今年度中に九州全県域で提供するフレッツ光クロス(最大概ね10Gbps ※2)やマンション全戸一括等の販売拡大、またビジネスネットワークの新規開拓等により基盤事業の拡大を図ります。一方で、法人事業としては端末からネットワーク、クラウドまでをトータルでサポートするマネージドサービスなど、お客さまに寄り添った営業活動を展開し、さまざまなお困りごとの解決をサポートするサービスを展開してまいります。さらには、ネットワークを中心とする通信事業の強化、ソリューションやマネージド等の法人事業の拡大を活動の柱としつつ、将来の収益源となる社会課題解決型のビジネス拡大にもチャレンジしてまいります。今年度も引き続き固定音声収入の減少が見込まれるものの、追加の先行投資の実施影響を除けば、成長事業の拡大や不断のコスト改善により、前年を上回る利益をめざしてまいります。

2025年4月13日に、「大阪・関西万博」が開幕いたしました。NTTグループでは万博会場のパビリオン等の主要施設間をIOWNで接続することで、会場内のさまざまなコンテンツやイベントの共有、距離を感じることのない一体感と没入感のある体験が可能な実証環境を提供いたします。一例としては、万博のオープニングイベントとして行われた「1万人の第九」では、会場に集まった1万人の合唱団が複数拠点に分かれ、オーケストラと同時に歌うという演出であり、IOWNによって遅延なく合唱と演奏の同期を実現しました。また、大合唱の映像は、IOWNを活用してMBS毎日放送(在阪放送局)へ伝送され、「リモートプロダクション」による遠隔編集が行われるなど、放送・メディア分野におけるDX化にも貢献しています。NTTグループがこれまで培ってきた技術力や経験で通信サービスをさらに進化させた低消費電力・大容量高品質・低遅延を特徴とするIOWN APNを、多くのパートナーさまと共創することで未来を先取りした体験を実現しております。ぜひ、大阪・関西万博にご来場いただき、IOWNで実現する「未来の通信」をご体感ください。

2025年7月に新たな社名となり、新生NTTグループとしてスタートいたします。諸先輩方から継承している「安心、安全、信頼」や「つなぐDNA」を堅持しつつ、ICTを活用したお客さまにとって価値のあるサービス、そして豊かな未来を創造してまいりたいと思います。今後とも、皆さまの変わらぬご支援とご理解・ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

会場の様子

※2

  • 技術規格上の最大値であり実効速度ではありません。通信品質確保などに必要なデータが付与されるため、技術規格上の最大値より実効速度の最大値は十数%程度低下します。
  • インターネットご利用時の速度は、端末機器の仕様等お客さまのご利用環境や回線の混雑状況などによって低下します。